佐々木健一 美学への招待 2004.3 中央公論社
言及 †
memo †
目次
- まえがき
- 1. 美学とは何だったのか
- 背景の確保/近代という時代/感性学としての美学の誕生/近代美学の主題/解釈と美的概念/応答の美学
- 2. センスの話
- 一行の美学/言葉になるもの、ならないもの/野球センス/センスと感覚/メタファーとしての感性/《感ずる》という働き
- 3. カタカナの中の美学
- 4. コピーの藝術
- 5. 生のなかの藝術
- 6. 全身を耳にする
- 7. しなやかな応答
- 8. お好きなのはモーツァルトですか?
- 9. 近未来の美学
- あとがき
- 文献案内
- 美学は「一八世紀中葉の西洋において提起された、美と藝術と感性を主題とする哲学」(強調は引用者)
- 藝術哲学とともに、「美や感性に関する哲学的な考察もまた、美学と呼びうる」 p.11 (が「本書では主として藝術を取り上げ」る まえがき
- 「一九世紀以降、この三者の同心円的構造が崩れ、美しくない藝術が生まれ、それは感性ではなく知性によってしか理解されない、という状況が進展してきた」 p.11 この状況がこの本で扱われる主なもの
- 「ポップ・アートやミニマル・アートからいわゆるポストモダンまで、現代藝術が示す「近代」の到達点は、「内容」を捨てた形式主義であり、微小な差異に力点をおいた表層の遊戯性である。すなわち、感性的なものの強調に他ならない」(佐々木健一「美」、『事典 哲学の木』) こちらの感性的は、カント的なののはず
解説
- 「根本において藝術のあり方が変化した現代」 p.175
- 変化といってどの時点からどの時点からの? すべて近代以降の話?(「藝術」は近代以降のもの?)
- それが藝術であると誰が決めるのか?
- 「『泉』を藝術として認知したのはごく少数の人びとからなるアートワールドであり、民衆がそれに関与していないことは、間違いありません。しかし、世紀単位くらいの長い時間軸で考えるなら、この専門家の判断を受け容れるという消極的な認知にもせよ、結局、何を藝術とするかは、コモン・センスの判断によるものと、わたくしは考えます。」 p.174 民衆? コモン・センス?
- アートワールドの住人(藝術家、評論家、学会、ジャーナリスト、美術館の学藝員たち)(artworld云々はArthur Dantoの議論)
- 芸術愛好家?
- 18cの中頃のフランスを振り返っての記述、「当時の人びとが、古典的な作品よりも、最も先端的な現代美術に親しんでいたという、今日とは正反対の藝術の状況が見えていきます」 p.185 当時の人びと? ってだれ(これは上の、変化ってどの時点からどの時点の? って話とも関係)
- 観客ってことか。しかし、その観客の内実についての話はいらないんだろうか?
美学? †
- 「文学を除いて、およそ藝術観賞が教養とみなされることは、西洋近代以外には、かつてなかったように思われる。藝術の生産的な活動が教養とみなされることは決して珍しいことではない。……これにひきかえ、藝術の観賞に人間形成の上での重要な役割を認めたのは、西洋近代の独創であり、これを理論化したのが美学である。西洋語で美学を表す語は、例えば英語では aesthetics と言い、《感性的認識の学》を意味する。その実態においては、主として藝術の哲学として展開してきた美学だが、この名称を見れば、藝術を特にその観賞面において捉えるという観点をとっていたことが分かる。観賞面に注目しつつ、藝術にハイカルチャーの一を認めることは、藝術を専門家の手から広く市民へと開放し、これをかれらの教養とする因子が、近代美学のなかに組み込まれていた、ということにほからならない。……」(佐々木健一『タイトルの魔力』 p.9-10)
- 「……哲学の一部門としての美学は、哲学の内部では、美や藝術の特徴を、倫理的実践や真理認識とは異なるものとして語らなければならない。独特のところがあって初めて、これらについて思索することが、独立した哲学的課題となりうるであろう。そこで近代美学は、藝術美を含めた美の直感的性格を主張した(美学を意味する aesthetics の原義が「感性的認識の学」であることを、もう一度想起しよう)。美とは「言葉にならない」魅力のことである。例えば、近代美学を確立したカントは、美を美として捉える精神のはたらきが、《実利的な意識ぬき、概念ぬき》のものであることを主張し、これが aesthetic(直感性)という近代的な概念の基本をなすようになった。」(同上 p.12-13)
intersection †
佐々木健一『美学辞典』
- 序
- 凡例
- Ⅰ 基礎的な諸概念
- Ⅱ 生産に関する諸概念
- 模倣
- 表現
- 即興
- 図式
- 想像力
- 天才
- 創造/創造性
- Ⅲ 対象に関する概念
- かたち
- 修辞的文彩
- 様式
- 象徴
- 作品
- 美的質/美的範疇
- 価値
- Ⅳ 消費と再生産に関する諸概念
- 美的態度
- 趣味
- 美的判断
- 解釈
- 批評
- 美的体験
- コミュニケーション
- あとがき
- 参照文献表
- 人名/事項索引