[ 読書メモ/記録:2007年10月分 ]
目次
■ 岩田正美『現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護』
- (ちくま新書,2007) →amazon
- あってはならない状態としての貧困(記述的な言葉である「格差」と違って,「貧困」は価値判断を含む言葉)
- 貧困を「(再)発見」していくこと
- 貧困問題の社会の責務としての引き受け
- 貧困の「かたち」を具体的描く(貧困が多いか/少ないかというはなしだけでなく)
- 乱暴な比較(「(たとえばアフリカにあるような)本当の/真の」貧困また「昔の」貧困はこんなもんじゃない的な)
- 貧困の境界設定は? 貧困ライン
- 貧困の空間的境界認識(スラムやアフリカなど)
- 20Cのワーキングプアの出現(発見)と福祉国家の構想
- ワーキングプアは「同じ社会で働く人々の中に貧困があることが」発見されたこととなる=空間的境界認識でははかれない/豊かな社会の中での貧困の発見
- 生物学的な存在(カロリー計算での判断),社会的な存在(社会の一員として生きるための費用/社会における生活様式の考慮)
■ テオドル・ベスター『築地』
- [東京の台所][掘られた溝][埋立地が築地市場に変わるまで][生ものと火を通したものと]
- 食の分類体系
- 分類・商品化は文化的なプロセス(食文化の原理と実践に添う)
- その文化的なプロセス・文化的意味の発生と練り上げは,社会的プロセスでもある.「それは,築地のせり場と商人の特殊な共同体というミクロな社会に命を吹き込み,明確に規定する.そして,そうした世界を構築しているのは,せりのシステムと市場というもっと広い制度的枠組みなのだ」. p.323
- 商品/モノの流れ,「大量収集,小口割り」
- 「せりと仲卸業者の重大な使命は,一つの大きな生産物の流れをもっと多様な流れに変えることによって,需要に供給を会わせること」 p.322
- (生産者/)供給者,卸業者,仲卸業者,小売業者(・消費者)/小売商店・飲食店主
- 市場の中での(市場という場における),縦の関係(第6章)・横の関係(第5章)
- 商品・金のやりとり/取引,その時必要とされる情報のやりとり
- 「取引と商品とが文化的に作り上げられる市場という社会」 p.309
- 「料理の意味と商いの社会的実践との相互作用が,市場に染み渡っている」 p.313
- 商品の文化的分類を市場の経済的メカニズムに置き換える,特定商品を扱う業者によって組織される業会,「業会は,ある分野の業者たちによる商品の知覚・定義を構成し,彼らの活動を調整する」
- 「市場の消費類型学を中心に形成された同業者集団は,生産者の世界という一見自然なカテゴリーと,消費パターンが作り出す強制的だが気紛れなカテゴリーとの間の仲裁役である.それらは,抽象的な料理の原則に従って,さらには世俗的な条件――供給源,特的のせり場での入手の可不可,特定の種類の商人を贔屓にする顧客のタイプ,そして,小売店主や飲酒店主の愛顧に見られる傾向――において,水産物間の複雑な差を再生する存在なのだ.業会は,生産・取引の対象から消費の対象へと水産物を変身させる活性因子だと言える」 p.452
- (扱うモノの違うせり場ごとの)取引共同体,本来は競争関係にある仲卸業者,集合的(相互)利益,競争的な環境の定義
- 例えば,マグロが市場の中でどう扱われるか,どのようなセリのかたちがとられるのか,そこに映し出されているものの読み解き
- 同じように,活魚はどうか? 鮮魚は? 養殖物は? みたいな感じ
- なんといってもこの市場は,なまもの,を扱っている市場なのだ
***
- 大久保純一『広重と浮世絵風景画』 →amazon
- 奥行きの知覚/俯瞰的な視点
- 橋爪「集客都市」
- 物語性の付与,時間消費のスタイル(ライフスタイル)
- 第八章=「景観を文化化する」 近過去の評価,バブルという経験の再評価,風景と景観の間を橋渡しする概念(の必要性)
- 第九章=「恋愛行動の空間化」 場所ビジネス,恋愛に関わる場面・行動を消費の場へと結びつける/都市は「「恋愛文化」,さらんは「家族文化」を私たちが創造してゆく「現場」として,計画がなされてゆくべきだと確信する」 えー?? どうなのコレ.
- これからの見通しや,ビジョンを語る言説ってどうなんやろ? 新たな世界性?
- 既存の「個性」ではなく,技・価値観・方法論を重視(新たに創り出すことの重視)?
- 『ヤバい経済学』増補改訂版で再読
- 「道徳は世の中がどうあってほしいかを表すと言えるだろう――一方,経済学は世の中が実際にはどうなのかを表している.経済学は,他にも増して,計測の学問である.経済学は非常に強力で柔軟な手法を取り揃えているので,情報の山をかきわけ,何かの要因一つや要因全体が及ぼす影響をちゃんと探り当てることができる.結局.それが「経済」というものだ――雇用や不動産や銀行や投資に関する情報の山が経済だ.」(pp.13-14)
- 人々の行動,物事の原因と結果,「日常の重さや衝撃」,経済学の方法,対象,「裏側の探検」,疑問,説明,通念,インセンティブ(「インセンティブは現代の日常の礎」),仕組み,あることの効果,反応,(あることに関する)具体的な情報(を知ること),「情報を蓄え,出し惜しみすることで力を得ている集団」
|