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[ 読書メモ/記録:デザイン関連 ]


目次

  • 草森紳一『江戸のデザイン』 BksKsmrEdoDesign
  • 橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』 BksHsmtUtsukushii
  • 佐々木健一 『美学への招待』 BksSskBigaku

エイドリアン・フォーティー『言葉と建築―語彙体系としてのモダニズム』

  • (鹿島出版社, 2006, 監訳者:坂牛卓・邉見浩久, 装丁:工藤強勝) →amazon
  • (原著=Adrian Forty, Words and Buildings: A Vocabulary of Modern Architecture, 2000) →amazon
  • フォーティーの邦訳書としては『欲望のオブジェ―デザインと社会 1750‐1980』(鹿島出版社, 1992)がある。
  • アルド・ロッシ(『都市の建築』)への言及。「ロッシの議論の独創的なところは、「恒久的なもの」と「集合記憶」という都市の歴史の二つの理解の仲立ちとして建築を位置づけ、それが、二つの概念を結びつけるだけでなく、連続性を調査、検証する上での唯一の具体的な証拠であると示唆した点にある。」(p.300)
  • カテゴリー、概念、モデル、美学、観念、暗喩、アナロジー、意味
  • (ある一つの)言葉の意味の変遷・展開
  • 一つの語の持つ複数の意味の重なり合いが利用される場合もある
  • ある用語が意味するものと同時に、意味しないものへも注意が払われる/ある用語が使われた時の対立項に注目する
  • ある語の選択がどのような目的でもって(/手段として)行われているか
  • 文学、哲学、科学、言語学
  • よく出てくる名前。ゲーテ、カント、ジョン・ラスキン(英国, 19C)、ゴットフリート・ゼンパー(ドイツ, 19C)、ヴィオレ・ル・デュク、ヴェンチューリ
  • 建築のモダニズムが構成する用語の三元素=「空間」「デザイン」「形」
  • 建築から得られる快とは?
  • 「「デザイン」の魅力は自由学科に加わりたいと切望しながらも、実際には建設の物質性に関わり合い、手仕事や商業的なものの結びつきを背負った職能にとって、この単語が自らの作り出すものにおける純粋に精神的な作業の部分であることを示したからであった。」(p.201) 教育されるものとしての建築とデザインの関係/カントとデザイン
  • 藝術としての建築? 「…建築は再現的な芸術ではなかった。というのも、それは自然の対象を再現するのでも、詩作のように人間の気分や感情を再現するのでもないからである。」(p.332、ミメーシス=自然模倣関連の議論の中の一節) それでは、(建築を芸術として考えるにあたって)どのような論が立てられる?
  • 「美が対象に宿るという考えの最終的な終焉、そして美が見る主体の構成概念であるという考えへの交代」(p.330) /「美の源泉は対象の物質性ではなく人間の精神がそれらを把握する仕方にあるという見方への転換」(p.340) これは建築に限定される話ではないな。美学また哲学の話?でいいかのかな。ヒュームからの引用=「美はもの自体にある質ではない。ただ単にそれを観想する精神に存在する。そしてそれぞれの精神が異なる美を受け取る」(同前)。このような「考えの展開は、ジョン・ロックの伝統に連なるイギリスの哲学者たちに形象された。」(同前)
  • 「一八世紀後期の哲学的な美学という学問分野では、美の淵源が対象物それ自体にではなく、それを知覚する過程のうちにあるという認識とともにはじまった。この議論の展開において「形」は重要な概念となり、もはや(古代やルネサンスと通じてそうだったような)事物の特性ではなく、事物を見る上での特性に限られることとなった。この新たなアプローチに対する唯一最重要の貢献者はイマヌエル・カントだった。彼の『判断力批判』(1790)は「形」を芸術知覚の基本カテゴリーとして確率した。カントは美の判断が切り離された心的能力に属し、知識(認知)にも感情(欲望)にもつながっていないことを議論した。」(p.228, 「形[フォーム]」に関する議論より)/「美的判断、つまり精神が快を見いだすものを知覚することは、形という内的な概念を満たす特徴を外的世界のうちに認識する能力を通して起こる。」「カントの思想の。「形」の歴史における重要性は、「形」が見ることのうちにあり、見られたものにはないことを立証し、またそれは「形」が、精神が対象に美を認識する限りにおいて、対象のうちに内容が意味とは独立した形の表象を精神が見取るからだと立証したことにある。」(p.229)
  • 「感覚が捉える事物の特性」=形状/「精神が捉える事物の特性」=考え[アイデア]・本質[エッセンス]・・・・以上は形[フォーム]に内在する両義性の議論より(p.220) 前者は「形態」、後者は「形式」とも言える(ドイツ語ではゲシュタルト/フォルムの二語で区別される)・・・シェイプ[形状]、マス[量塊]とも区別されるフォーム[形]
  • Nature[自然], Order[オーダー], Transparency[透明性], Truth[真実]、Type[型]

深澤直人 『デザインの輪郭』

  • (TOTO出版, 2005)
  • デザインがどんどん生活をよくしている/なんてことはないと思います。/デザインは、常にそこにある状況をよくしているだけであって、/歴史的に、時系列的にどんどんよくなっていると思ったら大間違いです。/既にそこにある状況に対して、/「いい」「よくなっている」といえるだけだと思います。/人間は、他人[ひと]のためにやっているという感情をもってやると、/汚れてしまいますよ。」(原文では、/で改行。/は一行アキ)
  • ここで少し言及した

マクダーモット・モダン・デザインのすべて A to Z

  • 原著=Catherine McDermott・Essential Design(Bloomsbury, London, 1992) 全295ページ。冒頭に「序論」としてざーっとした解説が50ページ程置かれている(デザインと産業革命/19世紀/近代化運動/戦後のデザイン/1960年代・ポップ的美意識/デザインとポスト・モダニズム)。その後が「A-Z項目」と用語集スタイルになる。参考文系リストもあり。裏表紙には「クリスタル・パレス、万国博から、パンク、グリーン・デザインまで、20世紀デザインもモダニズム発祥の地イギリスから見てみよう。21世紀デザインのためのハンドブック。」とある。読む人はこの「イギリスから」(の視点で書かれている)ってのは注意するべきだろう。
    • もちろん〈この本だけで済ます〉というようなものではない。他の様々なデザイン史関連の本で得た知識や視点が、どのように再・配置されているか確認するように読むのがいいそういう〈別の視点〉〈視点の相対化〉が得られるだけでなく、新たな知識も得られる本でもあるが。例えば、イギリスでの細かい事象など。また、一般的な近代デザイン史では扱われない(というか、それらが書かれた時代の後の)60年代、70年代の事象も扱われているのも特徴なのか。
  • 気になった項目:Peter York(評論家, 参考ー> http://en.wikipedia.org/wiki/Peter_York 特に、Under his other name of Peter York~以降の記述)/Tom Wolf(トム・ウルフ。こちらは日本でも紹介されており、邦訳もある評論家だな。1960年代に入って「アメリカでにトム・ウルフ、イギリスにピーター・レイナー・バンハムが登場して、はじめてデザイン・ジャーナリズムが成立した。新聞もデザイン専門の記者を雇うようになった。『ガーディアン』紙のフィオナ・マッカーシーもそのひとりである。」 ニュー・ジャーナリズムや、バンハムも属したインディペンデント・グループという項目もあり)/1951年の英国祭(「この催しが戦後のイギリスで行われてた最も重要なデザイン・フェスティバルであった」 p.137)/50年代のコンテンポラリー・スタイル[Fifties Contemporary Style](関連
    • 項目にはなっていないがメモ。Deyan Sudjic・Cult Obhects(1985) sudjicはBluePrint誌の創立者(関連

■メッグズ・グラフィック・デザイン全史

ゴンブリッチ・手段と目的―フレスコ画の歴史