柴崎さんの小説を交差点にしながらいくつかのおすすめ 3藤野千夜の短編集 『彼女の部屋』 なんてどうかなー。柴崎さんは日常的なことを書くのに非日常的な・ある意味不自然な仕掛けを用いることがある(「ショートカット」のワープだとか、「青空感傷ツアー」のめくるめく移動だとか)。藤野さんはこの本の中の「父の帰宅」という小説で、ある家族のもとに死んだはずの父親を帰宅させてみせる。家族たちは、それぞれなんかおかしいと思いながらも、それを自然と受け入れてしまう。しかし実際には、日常とほんの少しのずれがあるわけで、そこにいつもは意識されなかった様々な感情・言葉が現れ出てくる。それは、何度もそれまでも言われてきた言葉である時もある。例えば次のような母親の言葉。
母親はいつも(日常的に)娘から死んでから何年も経ったのだしいいかげん捨てろと言われてきたのだった。 2柴崎さんの「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」に次のような部分があります。
この曲は何って曲なんだろうと、歌詞が英語でどうなるか想像して検索してみた。はっきりとはしないが、Yo La Tengoの"The Crying of Lot G" という曲があてはまりそうだ。
って一節が出てくるから。And Then Nothing Turned Itself Inside-Out [2000] というアルバムに収録されています。 1柴崎さんの小説の読者にお勧めの小説です。保坂和志『プレーンソング』 [1990] 一見だらだらと生活しているように見えるが何か大切なものをそれぞれ持っているような若者たちのお話。次のようなフレーズが、個人的に胸に響きました。
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