藤森照信は建築史家/建築家.

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  • 『フジモリ式建築入門』 ちくまプリマー新書 240頁 2011 →amazon


藤森流自然素材の使い方    人類と建築の歴史    藤森照信の特選美術館三昧


読んだ著作

  • 『藤森照信の原・現代住宅再見』
日本の近代建築  タンポポ・ハウスのできるまで  天下無双の建築学入門    ちくま新書  藤森照信の原・現代住宅再見  藤森照信の原・現代住宅再見〈2〉

  • 神長官守矢史料館 1991
  • タンポポハウス 1995

はじめて丸ごと一冊自分の本を刊行したのは三十六歳のときの『明治の都市計画』で、原稿を書き上げたとき、長い長いマラソンを終えたあとみたいに体も頭も疲れはて干上がり、セミの脱けがら状態になっていた。

……前年の夏から『日本の近代建築』という本の書き下ろしに入り、結局、三年かかることになるが、一九九一年の春はちょうど……

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  • 藤森照信『昭和住宅物語』は「戦前から戦後の早い時期にかけての住宅作家の大先生を主に扱っ」たもの。これは、この本の最後に収められている石山修武+石井和紘との鼎談での本人の説明だが、この鼎談では、この本の内容自体からは少し離れたことになるが、藤森さんの仕事のスタンスが言葉で明らかにされていて興味深い。

・・・僕の大きな考えとしては、死んだ人にはできるだけドライじゃなくありたいと思っている。歴史にはできるだけ感情を移入してやりたい。死者は枯れているから感情を移入してやらないと面白くもなんともない。・・・

・・・大学に入って、建築とは関係ないことだけどいろいろあって、・・・現実の世界で生きるのはやめようと思って歴史を選んだ。・・・今から思うと若気のいたりの判断だとも思うけど、現実からは一歩引いたところで生きたいと思った。/・・・かなり非現実的なことをやってきたのよ、ずっとね。建築探偵なんて言って、ただ街を歩いて建物を探してただけなんだから。それは、とても楽しかったけど、基本的には日の当たらんことですよ。それがやっているうちに日が当たってきたわけ。これは意外な感じで、そんなことはオレのせいじゃない(笑)。/別に建築探偵をやってウケてやろうとかいう気はまったくなかった。研究の一環でやってたし。どこかに自分は現実から切れるという覚悟を歴史やる人はみんな持っているわけで、その感じは今でもあるのよ。評論とかやるときもね。

・・・つくる人の世界じゃないのね。見る人たちの世界。

藤森照信『昭和住宅物語』

  • 新建築社 1990年
  • 『新建築 住宅特集』での連載(1986年5月創刊号~1988年5月号)をまとめたもの。
  • かなりいい本! って感じの手応えがあるぞ。・・・この本を発見した!というようなことではなくて、建築に関係している人は読んでいそうな本だ(中谷さんの建築史入門推薦本リストにも入っていた)。最後の鼎談では、藤森さんのスタンスがかなり明快に表明されてもいる。
    • 「あとがき」に次のようにある。「評論は強く、歴史は弱い――これが建築ジャーナリズムの性[さが]なのだと思う」。そう考えていた著者が、建築専門誌に書くことになる。そうかと思ったのだが、建築専門誌に書くということは、「建築家相手」に書くということなのだなあ。
    • モダニズムの青春・立ちつくす戦前・戦後モダニズム・血煙りポストモダンの四部からなる。「血煙り」以外は一部を七章で構成。「血祭り」は石山修武・石井和紘・その二人との鼎談の三章から成る。
    • ということで、最後の章に収められているテキストによって、著者は「生まれてはじめて現代建築を語る、つまり評論をやる羽目になった」。ちなみに、最近の著作には『藤森照信の原・現代住宅再見』もある(こちらも雑誌連載――TOTOのPR誌『TOTO通信』で連載――をもとにしたもの)。
    • 現物(現存している建物)しか取り上げない
    • 設計者・その家族・住人などへの聞き取り
    • 一章12000字ぐらいか

藤森照信『天下無双の建築学入門』

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  • ちくま新書 2001 amzn
  • 雑誌連載をまとめたもの。全39章+後書き。一章三千数百字程度で、それぞれ建築に関する事項(工法や床や天井というような部分)がテーマとして立てられている。比較として海外の事例も紹介されるが基本的には日本の建築について扱っている。時期は縄文時代~現代(というよりは近代)まで。全体は、大きく「目からウロコ!? 古代の建築術」と「アッと驚く!! 住宅建築の技」の二部に分かれている。おそらく、建築史的に独自なアイディアが様々に提出されている。が、基本的に一章読み切り型なので、費せる枚数は限られており、論の進め方は粗い、というか軽い印象がある。文体も軽い。・・・でもなー、この人は、こんな一冊の新書にはおさまらないでかさがあることを知っているからこの、この一冊に関する評価もし難いなあ。