《Intersection》について





  • 『Intersection』について引き続き考えていた。というか、収録されている記事の切り口の類型化の作業など。
  • 『Intersection』をじっくり読んでいるのだが、やっぱりすごい。なんで、あそこまでコンセプチュアルにできるのだろう。インディーズ的なものは、なんというか個人のネットワークでできるものというか、DIY的にできるものって感じがする。でも、『Intersection』が採る方法はそうではい。なかなか大変な仕事だ。だが、その紙面のそれぞれの記事によって構成される世界観は、アノニマスな一般の個人的なもの、その多様性に焦点をあてるようなものだ。
  • 最新号で、タクシーの特集が組まれているということは、既に書いた。いろいろな切り口の記事があるが、その中の一つ。世界各地のタクシーの運転手への取材記事がある。車と一緒に運転手が写った写真と、国・都市・名前・年齢・一日の稼ぎ(USドル換算)・タクシーの車種というフォーマットがあり、それに加えて、それぞれの運転手が語ったちょっとした「ストーリー」が載っている

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車・カルチャー雑誌《Intersection》 Issue 6

  • タクシー特集。特集テーマがあるのって今までにあったかな?

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  • 左:Research/Street Wear/Accesories/Rush Hour 微妙にドライバーグローブをしている(記事のリード文/コピーは「Fight Your Way Through Traffic With The Aid Of These Helpful Hand Signals」)/右:Street Life/Vieille Canaille 普通のファッションフォト(モデルの名前と着てる服のクレジット入り)だが、微妙にハンドル握ってる
    • Research, Street Life というのを説明しておくと、《Intersection》は切り口によっていくつかの部分に分かれている(分けて編集されている)。「Drive In」(今号のページで言うと、P16-29)、「Research」(P31-115)、「Street Life」(P.119-161)、「Short Cuts」(P163-192)。
  • 今号にはヒップホップのアーティストの記事が二本。Drive In/Drive-By/The Pedestrianのコーナーで Goddie MobのKhujo Goodie(去年a serious car accidentにあったということで)、Short Cuts/Musicのコーナーで、 Cappadonna(タクシードライバーをやっていたことがあるということで)。
  • 写真系では、《Re-magazine》にcontributeしていたMartine Stigの写真が載っていたな。あと、Martin Parrが日本は鈴鹿でフォーミュラワンを撮っていた。
  • やっぱ、《Intersection》は、globalizationを背景にしている雑誌。何といっても、イメージの集め方がそう。それを併置して見せる。カラーズのように。それは、一般のグラフ誌がやっていたものともいえる。写っている対象が違うが。それを、カルチャー誌でやったという。まさにグローバルなアイテムである車ってことを合言葉に。
  • 《Intersection》は《Dazed&Confused》の蓄積してきた、ネットワークなりノウハウなり資本なりをどれほど利用しているんだろう。グローバリゼーションには、通信網などの広がりも含まれるわけだが、彼らもそれを利用している。そして、それは僕らにもそれなりに利用できるものだが、それでもまだ、このような仕事は、資本がなかったり世界に広がる人的ネットワークなしにはできないものなのだろうか。
  • 車に関するevent, show のreport
  • 人が「車を機会に」集まる

イギリス発の車関連の雑誌。「えー車雑誌?? 車とか興味ないしぃー、わたしーパス」というそこのあなた、それはちょっともったいないですぞよ。車に興味がなくても、自分たちが生活するこの世界・この時代に興味を持つ人なら、この雑誌のおもしろさはぜったい分かるはず・・・・・・と信じて早速、2003年7月現在での最新号=第4号を取り上げながらの、中身の紹介へと参ります。

まずは、冒頭の「Drive In」というコーナーからー。副題に「We’re On The Road Again」とあるこの部分では、フロリダで行われる「Daytona Bike Week」という、期間中に80万人ものバイカーが集まるイベントや、ヨーロッパ中の超レアなクラシック・カーや最新のコンセプト・カーがローマ郊外のVilla d'Este(有名な庭園のある高級ホテル)に集まって行われるコンクールなどのレポートが載っています。記事は、見開きいっぱい(この雑誌はA4判なので見開きのサイズはA3)の大きな写真とその半分ほどの面積をしめるテキストから成っています。テキストは、取り上げるイベントを読者がまったく知らないものとして紹介する形でルポ的に書かれていて、これはこの雑誌の他のテキストとも共有する特徴です。またこのコーナーには、他にも「運転手」「乗客」「歩行者」と題するテーマ・エッセイもありその1つは作家のダグラス・クープランドによる執筆です。

さて、お次は「research」コーナーへ。「The Shape Of Cars To Come」という副題が示す通り、かたち・デザインに焦点を合わせた記事が並んでいます。デザイン系の雑誌で見かけそうなかなりとんがって見える新しい流行のスタイルの車の紹介があり、過去の「未来的なデザイン」の車を当時の時代風景の描写とともに紹介したり。車のデザイナーをフュチャーした記事もあります。

多様な世界を扱う方法

編集長 Dan Rossのインタビュー

  • イギリスの『dazed & confused』が出したカー・カルチャーの雑誌である。
  • cars move us ←象徴的な言葉 carsが先にくるわけよ
  • ラウンチ・イシューのショートカッツコーナーでは、ネプチューンズ(hip hopのプロデューサー)、ジュリアン・オピー(現代アートのアーティスト、

出会い

  • 初めてこの雑誌の存在を知ったのは、雑誌『composite』の記事の中でだと思う。英国の雑誌『dazed & confused』が車の雑誌を創刊する、というような話だった。『dazed』をきちんと読んだことはないし、車の雑誌と言われてもイメージがわかなかった。
  • まず、雑誌の本体より前にハードカバーで、コンセプトブックが出版された。それは、あまりに高くて(輸入物アートブックの世界では別に驚かれる値段ではないのかもしれないが)見送り。立ち読みしても(すごい重い、でかい)、あまりピンのこなかった。
  • が、それが雑誌になって都内の本屋に並んだときは、ぱらぱら見て、すぐ買うことを決心したと思う。いや、まず欲しいと思って、そっからが雑誌との一対一の向き合いが始まる。そして、結局手を話すことができなかったわけで、購入することになる。決め手は、車についてだけしか載っていないのに、そのぺらぺらめくった時の紙面のバラエティの豊かさ、ここには自分の見たことのない、考えたことないものが載っているという感覚だった。

Launch Issue

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  • 青山ブックセンターで2250円で購入。元々の値段はUK £3とあるので550円ほど。。。。。

Street LIfe 「Box Car」

  • 見開きの右ページに、何かの部分が写っている。白色の部分とメタリックな部分の組み合わせがibookのようにも見える。真ん中に四角く窓のようなものがあるが、真っ黒で何も見えない。
  • 左ページに配置されたテキストは、「you're going on long journey」と始まる。そのあと一段落の間、車の中にいるその人(あなた)の不自由さについて語られる。そして段落の最後で、その車がprison vanであることが明かされる(先ほどの写真は、prison vanの部分だった)。
  • 以下、車の中での犯罪者の徹底的な管理、その管理を可能にするための車のデザインについて語られる。車の中は囚人が一人ずつ収められる小さなセルに分けられている。囚人がその部屋の中でてきることといえば、窓から外を見ることぐらい。車の外側から見ると真っ黒で中が見えない窓は内側からは外の、車が走っているストリートの様子が見えるようになっている。
  • 一人の囚人の言葉が紹介される。「You can see the world go by from one tiny window, and basically you can't move. It's like being burried alive.」「If you kept an animal like that, the RSPCA would have you.」(RSPCA=「英国動物愛護協会」)
  • 徹底的な管理、「だがしかし」。記事のライターは、もっと車の中を細かく観察してみる、車の運転手の話を聞いてみる。すると「traces of humanity begin to make themselves apparent」。
  • 一枚の写真。小さなセルの内部の壁のホワイトな部分に、「J C IS NOT GUILTY」という「Graffiti」が見える。その横のメタリックな部分には、引っかき傷のようなものが見える。

Isuue 4

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  • この雑誌は、他の人に紹介することが多い。というのも、他にない素晴らしい雑誌だと思っているからつい話したくなる。そして、そのおもしろさを理解してくれる人が多い。でも、季刊のペースといっても、このネタでずっと続けられるのか? という人が何人かいた。実際この4号、かなり薄くなっている(ページ数で言って第1号の3/4ぐらい。体感はもっと薄くなった感じ)。で値段は同じ(買った本屋は違うが、どちらも洋販の2250円という値札が付いている)。雑誌に記されている値段は、第1号がUK £3 第4号はUK £3.50である。日本円で言うと600~700円ということになる。洋雑誌の値段というのはよくわからない。これは一度調べてたらいいネタかもしれない。
    • ちなみに、4号はみなとみらいの有隣堂で買った。ここは洋雑誌が結構あるのだ。おそらく横浜一なんじゃないか。ちょうど現在はセールをしていて、一割引だった。
    • あとこの雑誌のバックナンバーを置いているところがあれば教えて下され。
  • 以下、4号を取り上げながら中身について少しずつ見ていこう思う。
  • この雑誌の記事、コンテンツはいくつかのカテゴリー(street life, short cuts, research, performanceなど)に分かれている。

表紙で紹介されている記事。

  • "Park In The Shade" Doug Coupland's mind games / Herbert goes bananas / Smoking SUVs Barbie's car colletion
  • "Red Light District" Holland's drive-in brothels /brothelとは売春宿
    • street カテゴリー /text:chris campion (この人かな?)
  • "Walter De'silva" Remaking Audi in his image
    • research カテゴリー
  • "Garage Of The Apes" Show me the monkey
    • short cutsカテゴリー。NIGOについての記事
  • "Coppola's custom chariot" Danger on the Gumball
  • "White Vab Ban" Japan's evaggelists
  • "Changing lanes" Bijou Phillips
    • short cutsカテゴリー。表紙もこの人。女優/アーティスト ここの一番の下の記事とか
  • drive in We're on the road again
  • research The shape of cars to come /車の形、デザインに焦点。ニューモデルだけではなく、過去も振り返りつつ研究・紹介
  • performance Street theatre /(少し非日常的な車風景?)
    • ビジュアル構成、皆川聡によるデコトラ(デコレーション・トラック、改造したヴァン)の写真とかもある
  • street life it's the only life I know (日常的な風景、市井の人)
    • ビジュアル構成(少しファッションフォト寄り、だが華やかな感じではなくドキュメント的)
    • ビジュアル構成(ドキュメント寄り)。見開きで、片ページに撮られた年(例えば、1983というような)が添えられた、車とその所有者が一緒に写った写真が載っていて、一方のページに現在の(つまり、先の写真の数十年後に撮られた)その車と所有者(もちろん年をとっている)が写った写真が並べられている。付けられている文章の中に、「monogamy」(一夫一婦主義)という言葉が出てきておもしろい。二枚の写真の中に、変化(人が年を取っている、場所が変化してる)と変わらぬもの(車)が見いだされ、人はどうしてもその人の生活、そのスタイルというものに思いをはせるだろう。その想像行為の助けとして、小さな文字で写っている人の名前、関わっている仕事、車の名前のキャプションがそっと入れられている。
  • short cuts People who give us a lift/ある個人をフューチャーしたページ
    • NIGOやmatthew herbertなどが取り上げられている。結構丁寧な記述である。両者について知らなくても読めるようになっている。

参考

  • dazed & confused編集長のインタビュー@sputnik

  • 上記ウェブ currentissue のところで紙面の様子が伺える。写真とテキストの組み合わせ方。
  • 「intersection」(inter-secionということで、横断だとか交差だとかいう)言葉は、コンセプトとしてありがちだが、そのような(「横断的な雑誌」と いうようなコンセプト)と、この雑誌のあり方というのはまったくちがうように思える。
  • 要は、「車というものはintersectionだ」ということで、これは「この雑誌のコンセプトはintersectionだ」というのは違う。
  • 現実として、車は様々なもののintersectionとしてあるということで、車というもののまわりに広がる(文化的な、経済的な、様々なレイヤーで捉えられる)空間の豊かさに着眼したというのがおもしろい のだ。