※このノートは現在制作中です(2012-06-12)


高祖岩三郎『ニューヨーク烈伝』第三章「情動の街」、第四章「情動の組織論」

第四章「情動の組織論」

  • 前書き クイアー運動を語ること
    • 本章では、「クイアー運動[アクティヴィズム]諸相を紹介」
    • 「ゲイ+レスビアンの運動において、それらが発展するにつれて内在化した階級と人種が内側から自律化し、分派/分裂していく傾向が観察された」
    • 「「クイアーという呼称」によって、ジェンダー的マイナー存在を簡単に一括して定義してしまうことは用心すべきである。レオ・ベルサーニが(ジード、プルースト、ジュネのテクストの見事な分析によって)示そうとしているように「homosの性[セクシュアリティ]」は、究極的には、ほとんど個人個人それぞれ単独のもので、それらを一律に語るにはどこか無理がある。それらはその一般的カテゴリーにおいてではなく、その単独性においてのみエロスの普遍性を指し示している」
  • ニューヨーク・ゲイ概史
  • ニューヨーク・レスビアン概史
  • クイアー・スペースについて
  • ストーンウォール前後
  • Act up とその周辺
  • 贈与のアクティビズム
  • 註33 「ACT UPの一連のポスターやGran Fury、フェリックス・ゴンザレス・トレスなどの芸術家たちの公共空間に向けた作品は、この時期のニューヨーク都市空間形成と分けて考えることは出来ない。ことに一九八九年当時〜」

  • 1969年のストーンウォール暴動
  • 1980年代半ばのAIDS危機

『美術手帖』 1991年6月号 特集=エイズ

  • ダグラス・クリンプが『October』のエディター時代に組んだ、エイズ特集(1987年)のクリンプによる序文の邦訳「文化分析/文化的アクティビズム」も掲載掲載。

田崎英明・編『エイズなんてこわくない―ゲイ/エイズ・アクティヴィズムとはなにか?』 1993, 河出書房新社

  • →amazon
  • 編者の田崎さんと村山敏勝さんが一緒に討議や解説をされている。で、様々な海外の論文の邦訳がのっている。ダグラス・クリンプの翻訳が2本
  • 文藝スペシャルというシリーズの一冊となっている。文藝の臨時増刊号みたいなものか?(まだ調べてない)。同じシリーズで、同年に、これまた田崎さんが編者の『セックスなんてこわくない―快楽のための7つのレッスン』があるようだ。「SEXの常識をかたっぱしからひっくり返す、ライブ感覚あふれる感動のレッスン。フェラチオのフォノメノロジー、サディズムのサイバネティクスなど、セクシャリティという誰もが関心を持っていて切実に感じていることを真面目に考察する。」だそうだ。
  • 田崎さんのここら辺の仕事は、岩波の「思考のフロンティア」シリーズの一冊=『ジェンダー/セクシュアリティ』につながっていくのだろう(2000年刊行)。こちらはアクティヴィズムや(性的?)実践を離れ、「理論的」な本となることを意識したもの。

『現代思想 臨時増刊 レズビアン/ゲイ・スタディーズ』 1997

Douglas Crimp [ダグラス・クリンプ]

日本語で読めるテキスト

  • 「美術館の廃墟に」(『反美学』, 1987)
  • 「場所の再定義」 (『建築文化』1996年2月号, 訳=松畑強)


  • 以下のエイズ/エイズアクティヴィズム関係のもの(の原著)は(最後に挙げたインタビューを除いて)、2000年代に入ってから編まれた Melancholia and Moralism: Essays on AIDS and Queer Politics→amazon, 目次)に収められている。原著の刊行年は初出のもの(詳しくは Melancholia and Moralism を参照のこと)
  • 「エイズ――文化的分析/文化的アクティヴィズム」(『美術手帖』 1991年6月号, 訳=上田高弘)|原著=AIDS: Cultural Analysis/Cultural Activism(1987)
  • 「エイズ時代にいかに乱交を続けるか」(田崎英明編『エイズなんてこわくない』, 河出書房新社, 1993年, 訳=竹村和子)|原著=How to Have Promiscuity in an Epidemic(1987)
  • 「エイズと共に生きる人々の肖像」(同上, 訳=石塚久郎)|原著=Portraits of People with AIDS(1988)
  • 「哀悼と戦閾――エイズ実践運動の私の師、グレック・ボードウィッツのために」(『CABARET FOR AIDS』カタログ, 1992, 訳=笹田直人)|原著=Mourning and Militancy(1989)
  • 「オネエさん、そのとおり!」(『ユリイカ』1996年11月号 特集=クィア・リーディング, pp.216-228, 訳=河口和也!)|原著="Right On, Girlfriend"(1992)
  • インタビュー「エイズとメランコリア」(『インターコミュニケーション』51号, 2005年, pp.220-240, インタビュアー=ティナ・タケモト, 訳=溝口彰子)|The Melancholia of AIDS: Interview with Douglas Crimp by Tina Takemoto (Art Journal, Vol. 62, 2003)
    • エイズ・アクティヴィズムとクィア理論の発生の時間的関係についても話されている


  • 高祖岩三郎『ニューヨーク烈伝』第四章「情動の組織論」で言及あり。"Mourning and Militancy"についてなど。

Leo Bersani [レオ・ベルサーニ]

  • 邦訳された単行本もいくつかあり。
  • 「直腸は墓場か?」。酒井隆史による邦訳が、『批評空間』第2期第8号)に収められている。この号は、バトラー、セジウィック、ハルプリンなど、クィア・セオリーの日本への紹介の機会になっていたようだ(目次)/「直腸は墓場か?」は、もともとは、ダグラス・クリンプによる『オクトーバー』のエイズ特集のために書かれた、サイモン・ワトニー『Policing Desire: Pornography, AIDS and the Media』の書評として着手されたものだという。

Gayle Rubin [ゲイル・ルービン]

  • 「女たちによる交通――性の「政治経済学」についてのノート」(『現代思想』 2000年2月号, pp. 118-159, 訳=長原豊)
  • 「性を考える―セクシュアリティの政治に関するラディカルな理論のための覚書」(『現代思想』1997年5月 臨時増刊号 レズビアン/ゲイ・スタディーズ, pp. 94-144, 訳・解題=河口和也)
  • 「性の交易」(『現代思想』1997年12月号) ジュディス・バトラーによるルービンのインタビュー

  • 『文学』2001年9-10月号 村山敏勝によるセジウィック『男同士の絆』書評
  • 『未来』2007年2月号 田崎英明による村山敏勝『(見えない)欲望へ向けて』の書評「 小説と秘密の存在」
  • 『英文学研究』第84巻(2007) 舌津智之「書評 村山敏勝著『(見えない)欲望へ向けて--クイア批評との対話』」